2013年度第3回試験飛行報告(05.12)

 

5/11(土)~12(日)にかけ、13年度第3回めの試験飛行を行いましたので詳細を報告いたします。

今回のTFは金土で雨が降っていたため、土日に実施日を変更しました。
組立中も霧雨が続き、機体に水滴が多量に付着していたため、
重心測定は中止しました。夜明け直前になって無事雨は止み、
少々風は強かったもののテストフライトを中止するほどでは
なかったため実施しました。
今回も低い機速から機体を浮かせるため、迎角を1.8度増す大径の前輪を
1本目から用いました。
今回は風が南から吹いたため、機体を滑走路の北端に移動してから、
南へ向けて試験を行いました。


1本目:ジャンプ試験
翼位置は前回のTFの最終回より更に17mm前(組立試験時の理論値
よりも30mm前)、尾翼トリムは0度でした。スタート直後に風にあおられ
左にロールしたため、直ちにストップをかけました。

その後風が強い時間が続いたため、風待ちを20分ほど行いました。
待機中にチェーンが2度外れたため、テンショナーのバネを
より短い物に交換しました。

2本目:ジャンプ試験
スタート後、風にあおられ再び機体が左にロールすると同時に
主翼の主桁を固定するU字マウントが胴体桁周りにロールし、
曲げに耐えられなくなったリアスパマウントの根元の
接着部がパテおよびロービングごと剥離してしまいました。その結果、主翼は主桁マウントを中心に
頭下げに回転、胴体桁に中央翼の前縁がめり込む形になり、
機体も発生した抵抗により右翼端を擦りながら急停止しました。

その後のテストフライト続行は不可能になったため、その場で撤収になりました。


幸運なことにパイロットを含め怪我人はいませんでした。しかし、飛行中にこのことが起きれば間違いなく悲惨な被害が出ていたはずであり、あってはならない事故が起きてしまったと言えます。
今後は、このような事故が二度と起こらないように反省しなければなりません。

今回のクラッシュでの主な機体破損個所は以下の通りです。
中央翼の中央部の前縁、及びプランクの割れ
中央翼-左内翼のL字接合部の破断
中央翼と内翼のブレーシングの緩み
中央翼-左右内翼のリアスパ接合金具の脱落
主翼のリアスパマウントの接着部の剥離
座席の座面に用いたスタイロの割れ

及び随所での全翼に渡る二次構造の破損とフェアリングの少々の傷みです。
幸いにも翼の主桁を含む一次構造、胴体桁、プロペラ、各種電装類には被害はありませんでした。

今回の事故の原因は胴体-主桁マウントにかかるロール方向の力の見積もりの甘さに有ったと考えています。F-tecでは今年から翼桁の片持ち化を行い、上部張線及び下部張線を廃止しました。このため、今年の機体では例年に比べかなり大きなモーメントがマウントにかかることが予想されました。
そこで、今年のマウントではロールに対する補強を行なっていましたが、対策としては不十分であり、今回のフライトで強い横風に耐え切れず、結果として上記のような事故が起こりました。

今後は胴体・主桁の接合部分の構造を根本的に見直しつつ、破損箇所の修復を行います。
十分な安全性が確認でき次第、次回TFを行う予定です。


今回の試験飛行の動画もYoutubeのF-tecチャンネルに投稿されています。以下の再生リストより御覧ください。

F-tec 2013/05/12 第3回試験飛行